NFT works 編集部
NFT works 編集部

2021年3月11日、デジタルアーティストBeeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)氏のNFTに基づいたデジタルアート作品"The First 5000 Days"が約6935万ドル(約75億円)で落札されたというニュースが流れた。

このニュースを見た読者の中には「Beepleってどんな人なの?そしてどんな作品にそんな高値がついたのか?」と気になった方も多いのではないだろうか。

今回は、Beeple氏がどんな人物なのか、そして落札された作品がどんな作品で、どのような経緯で高額で落札されたかを解説していく。

Beeple氏のプロフィール

Beeple(本名:マイク・ヴィンケルマン)氏は1981年生まれのアメリカのアーティスト。

2007年5月1日より毎日アート作品を一つ制作する”Everydays”プロジェクトをスタートさせており、プロジェクトスタートから1日も欠かさず作品を作り続けている。

Beeple氏のアート作品の特徴としては、現実世界の人物やアニメのキャラクター等を用いた風刺的な作品が多いことがあげられる。

Beeple氏の作品が約75億円で落札された経緯

今回落札された作品"The First 5000 Days"は、Beeple氏が”Everydays”プロジェクトで13年半毎日描き続けた作品を集めたものだ。

この作品が2021年2月25日に250年以上の歴史を誇る大手オークションサイトChristie’s(クリスティーズ)で販売開始された。

3月9日時点では入札額が350万ドル(約3億8000万円)であったが、オークション終了間際になり価格が大きく上昇し、最終的には約6935万ドル(約75億円)で落札された。

落札したのは、世界最大のNFTファンドである「Metapurse」の創設者・Metakovan(メタコバン)氏だ。

Metakovanは今回の落札について、「高額なNFTといえばこの作品をおいて他にはない。その理由は13年間の日々の仕事の成果を表しているからだ」とコメントを発表。さらに「技術は再現可能だが時間だけはデジタルでハックできない。この作品こそがいまの時代においてもっとも価値のある芸術作品であり、10億ドルの価値がある」ともコメントしている。

この落札がもたらすインパクト

今回の落札後Beeple氏は、「アーティストは過去20年以上にわたり、ハードウェアとソフトウェアを使って作品を制作し、インターネット上で配信してきたが、作品を真に所有し、収集する方法はなかった。しかし、NFTの登場により、それが変った。私たちは、美術史における次の章、デジタルアートの始まりに立ち会っているのだと思う。これは、物理的なキャンバスでつくられたものと同様に、クラフト、メッセージ、ニュアンス、意図を持った作品であり、この歴史的な瞬間にデジタルアートのコミュニティを代表することができ、大変光栄に思っている」と声明文を発表している。

また、クリスティーズの戦後・現代美術専門家であるノア・デイビス氏は、「昨年は美術市場にとって驚異的な時期であり、今日の結果はクリスティーズで行われた大幅なデジタル変革を称えるにふさわしいものだ。私たちのビジネスが進化したように、アートがつくられる方法も進化している」と発表している。

これらから、今回の落札はデジタル上でアートを所有することの価値が認められたと言えるのではないだろうか。

このような出来事を皮切りに、今後ますますデジタル上での創作活動が活性化され、より個人が活躍できる時代となっていくであろう。


画像:
Christie’s(クリスティーズ)サイトより